誓いごと。


からんからんと神社の鈴を鳴らし手をあわせる。

社の周囲には、元日の人混み目当てに屋台や露店が立ち並び、たいへんな賑わいを見せていた。



参拝を終えたナルトといのは、次の人へ場所を譲るためにその場を離れ出店の立ち並ぶ場所へと階段を降りて行く。




「意外だったわー。ナルトが初詣付き合ってくれるなんて。神さまとかいう形のないもの、嫌いそうだし」

振袖の振りの部分を気にしながらなんとか階段を降りたいのは、いのに合わせてゆっくりと降りていたナルトのきれいな横顔を見上げる。
また背が伸びたかしら、と眩しげに目を細めた。


ナルトはちら、と遠ざかってしまった神社を振り見て、ふと口元をつりあげる。



木の葉で最も大きなこの神社に奉られているのは、火の国の民衆の多数が信仰している天上の神ではない。
木の葉という里を作った初代火影以下、英雄と謡われた忍たち。




だがナルトにとってはこの神社に何が奉っていようとどうでもいいことだ。

「信じる神なんていないし、ここに奉られてるっつー忍共も正直どうでもいい。そういうモノ達に詣で祈る事柄もないしな」

「そんなこと言って。バチが当たるわよ?」



ちょっとだけ眉間を寄せて忠告をするいのに、ナルトは小さく肩をすくめて見せた。


「なんとでも。ま、初詣って名目で今日一日大手振ってデートできんだからいいだろ」


(嬉しいこと言ってくれるじゃない…ナルト)


ほのかに赤く染まった顔を見られたくなくてうつむいてしまう。


ナルトもいのも、忍として忙しい日々を送っている。
特にナルトは暗部でもあり二人の休みが合うことはなかなかない。


合ったとしても、娘を溺愛するいのいちがいのを今だに離そうとしないし、少し時間を見付けては短時間会うのが関の山。
こんな風に一日ゆっくりと一緒にいられるのはどれだけ振りだろう。




「それに無意味じゃないぜ。節目に合わせて自分に誓いに来る。課しに来る。為すべきことをな」


ほら行くぞ、と差し出された手に、いのはそっと自分の手を重ねた。





(誓いに、か……なら私も自分に誓うわ。あんたが本当に必要としなくなる時まで、何があっても傍にあることを)


いのは重ねたてのひらに、そっと力を入れた。



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可愛いナルトといのちゃんですv
年末年始企画をしていた暁様のところから頂いちゃいました!

いのいちさんの親馬鹿がツボ。

08/01/15 夜烏 白羽

 

 

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