「わ、私と、付き合ってください!」
あぁホラ、まただわ。
一瞬先の恋
あたしの好きな人は、もてる。
3年間の修行の後に里に帰ってきた時も、背が伸びてすっきりした顔つきになって、ちょっとかっこよくなっていたけれど。
サスケ君を連れ戻してからもう一度修行の旅に出て帰ってきたその人は、そう。
うずまきナルトは、とんでもなく格好よくなっていた。
背がぐんと伸びて、細身の体はしっかりと筋肉がついて。
あたしのものよりもずっと鮮やかな色合いの髪と瞳は、青空をバックにキラキラキラキラ輝いて。
こんな事を男の人に対して形容するのもおかしいかもしれないけど、人形みたいに整った容姿に、花の蕾がほころぶような笑みを浮かべて。
「いの」、と。
見た事もないとろけるような笑みと、聞いた事もない甘い低音を向けられて。
あたしは一瞬で、恋に落ちた。
格好良くなって帰ってきたナルトに落とされたのは、何もあたしだけじゃない。
トントン拍子に上忍になって、難しい任務もバリバリこなす優秀な忍。
おまけに容姿は最上性格も最高、果てにはフリーとくれば食いつく女は数知れず。
里にいる時は毎日のように告白ラッシュが起きているほど。
まだフリー。けれどいつ彼女が出来てもおかしくない。
現に、今、あたしはその告白の場にいるのだから!
「ず、ずっと……好きだったんです」
もじもじとはにかみながら言う女の子は、あたしの働く職場でも可愛いと有名な子。
正面にはナルト。
そして、2人から少し離れた茂みの中にあたしがいる。
………ちょっと誤解はやめてほしい。
何ものぞきにきたワケじゃない(ただ偶然通りかかったら2人が歩いてくのを見つけて……方向が一緒だったから………ごにょごにょ)。
「ナルト君、今付き合ってる人いないし……、私にもまだ、チャンス、あるかなって………」
小さい声で、恥ずかしそうに言うその子の姿は、女のあたしから見てもとても可愛らしい。
美男美女、お似合いの2人だわ、なんて考えてしまうあたしって……何?
「ありがとう」
今まで黙っていたナルトが漸く口を開いた。
「でも俺、好きな人いるから。ごめん、応えられない」
その言葉を聞いて、あたしの心臓がぎゅう、と収縮した。
ナルトの好きな人なんて、知っているけど。
でも実際本人からそれを聞いてしまうと、やっぱり……痛い。
それを言われた女の子は、一気に目をうるませて、今にも泣き出しそうな声で、一言。
「そ……か、ありがと、ごめんなさい……っ」
走り去っていく女の子。一人残されたナルトは、がしがしと金糸をかきまぜて溜息を吐いた。
困ったような、申し訳なさそうな、ちょっと、つらそうな。
太陽みたいに明るい顔が曇る。それがあたしは嫌いだった(いや、嘘。結構好きだけど!)。
もしあたしが告白して、あんな顔をされたら、あたしはきっと泣く。絶対泣く。
それが嫌で告白出来ない、なんて、言い訳だろうか?
あたしは小さく溜息一つ、そして呟いた。
「好きな人………かぁ」
やっぱりサクラか。
「知りたい?」
「うん。……………て、え!?」
独り言に加わる、あたし以外の声。
驚いて振り向いたあたしの後ろには、腕組みしたナルトが立っていた。
「ナ、ナル……ト」
「のぞき見とはいい趣味だな、いの?」
「の、のぞき見なんかじゃないわよぅ〜」
「目が泳いでるぞ」
説得力ないな、とからかうようにナルトは笑った。
気まずさやら恥ずかしさやらで、あたしは顔を上げられない。
あぁもう、何でどうしてこんな時に!
笑いをおさめたナルトが、あたしの前に座り込んだ。
どんな顔をしているか、なんて、俯くあたしにはわからない。
もう一度、ナルトは言った。
「知りたい?」
真剣な低い声で言われて、あたしの頬に熱がのぼって――自然と、首が縦に動いていた。
「それは――……」
ナルトの唇が耳に触れた。
「隠れてるのに隠れきれてない、意地っ張りで素直じゃないけど、可愛い可愛い女の子だってば」
髪の毛、見えてたぞ?
思わず顔を上げたあたしの目に飛び込んできたのは、花の蕾がほころぶような笑みを浮かべたナルトの顔だった。
あぁホラ、まただわ。
あたしはまた、ううん、何度でも。
恋におちる。
数年後ナルいの
スレでもNOTスレでもいい感じで。
再配布します。
前に配布した時に『トント拍子』となっていたところを『トントン拍子』に直しましたので、訂正お願いいたします。お手数かけてすみません。
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響様が素敵なフリーをしていたので掻っ攫っちゃいましたv
いのちゃん可愛い・・・素敵!
ナルいの好きだわ切実にvV07/08/14 夜烏 白羽