夕暮れ時、
紅く染まる街、
建物と建物の間、
路地の片隅さらに奥、
横たわる子供。
その金糸の髪を地面に散らばせ、
深い海のような瞳で建物の隙間から覗く夕空を眺めていた。
飛び散った血の跡、
体に刻まれた数々の傷、
ボロボロの服に土埃。
子供はただそこに横たわっていた。
「・・・馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、」
不意に、子供に黒い影が被る、
金髪の子供と同じくらいの影。
「やっぱりお前は超馬鹿だ。」
黒髪を風になびかせ、
横たわる金髪の子供を呆れたように見下ろしていた。
金髪の子供は黒髪の子供を見上げ、微笑む。
「そうだってばよ。『うずまきナルト』は馬鹿でドベな落ちこぼれだってば。」
そう言って、楽しそうに笑う。
全てを見下したように、
嘲笑うように。
その様子に、黒髪の子供は眉間にしわを寄せる。
「・・・何で逃げなかった。抵抗しなかった。」
「『うずまきナルト』がそんなことしちゃ駄目だってば。」
間髪入れず金髪の子供が答えた。
「それに、『うずまきナルト』はそんな力無いってばよ。」
「いくら『うずまきナルト』つっても下忍だろ。さっきの相手は一般人だぞ。」
「でもほら、それでもやっぱり、
『うずまきナルト』だし?」
ケラケラと笑う、金髪の子供。
―――嗚呼、
黒髪の子供は想う。
里人からの憎悪を全てその身に受けても、
それでも『ナルト』は、
「・・・・・メンドクセー。」
綺麗に笑うのだ―――と。
黒髪の子供はため息をつくと、
一気に建物の屋根の上へと跳ね上がった。
いつのまにか、黒髪の子供は黒い装束を身に纏い、手には白い面が握られていた。
「もうすぐ任務の時間になります。行きましょう、狐王総隊長。」
金髪の子供はゆっくりと起き上がり、
そして次の瞬間、黒い装束を身に纏い黒髪の子供の隣に立っていた。
「了解、影王総副隊長さん。」
白い面を片手に持ち、妖美に微笑んだ。
たとえ、
ドベのふりして悪戯して、泥だらけになっても、
大人達に殴られ蹴られ、傷だらけになっても、
闇の中舞い手を汚し、全身血まみれになっても、
『ナルト』は―――綺麗に、微笑むのだ。
この世界唯一の綺麗な色
何色にも染まらない無垢なる色、それは貴方。
+++++あとがき++++++++++
超突発文。
『全てを悟り』とは別設定。
シカナル・・・というよりシカ+ナルを意識して書きました。
ちなみにシカさん、ナルさんが暴行を受けていた時から見てました。
妙に冷め切ったナルト。諦めた感じが伝われば嬉しいです。
ドベ口調はわざと。
狐王=ナルトの暗部名
影王=シカマルの暗部名
即席です。07/07/30 夜烏 白羽