それは小さな意地だけど
「なぁ、ヒナタ。」
輝く金髪に海のような蒼い瞳の少年。
―――ナルトは、目の前の敵の首を跳ね飛ばしながら言った。
「どうしたのナルト君?」
長い黒髪に琥珀のような白い瞳の少女。
―――ヒナタは、後ろから襲って来た敵の心臓を貫きながら返事を返す。
ナルトは禁術を敵に向かってぶっ放す。
そしてポツリと、疑問を口にした。
「どうして、こんなにも愚かなんだろ。」
「・・・え?」
いきなりのナルトの質問にヒナタは呆ける。
そしてその隙に斬りかかってきた敵の脳天にクナイを貫通させ、ナルトに向き直る。
「何が?」
そう言うヒナタに、
ナルトは可笑しそうにクククッと笑いを噛み殺す。
「んだよヒナタ。わかってるくせに・・・。」
そう言ってニヤリと笑った。
そのナルトの様子に、ヒナタもクスリと笑い、
「え、何のことかな?」
小刀で敵の額を一突きしながら、そうわざとらしくとぼけた。
―――だって、嫌というほどわかりきっていることだから。
人も、
里も、
世界も、
全てが、
「愚か。」
ザシュ
ナルトは最後の一人を真っ二つに斬り裂いた。
「終ー了!浄炎っと。」
ナルトは炎を放ち、敵の屍を燃やす。
炎に照らされ、二人の血塗れた姿がより一層、闇の中に浮き上がる。
それは一つの絵画のように、
ある神々しき儀式のように、
美しかった。
「・・・ねぇ、ナルト君。」
ヒナタは炎を見たまま目を放さずに、ナルトに言った。
「全てが愚かなら、私達は・・・・・・」
そこまで呟いたところで、ヒナタは首を横に振った。
「・・・やっぱいいや。」
答えはわかりきっているから。
「帰るぞヒナタ。」
「うん、帰ろうナルト君。」
そんな世界に執着し、
愚かなものなんかを護るため、
手を汚す。
そんなオレ達のほうが、なんて、
そんなこと、
認めたくないから、
意地を張る。
まるで子供みたいだ。
まだ私達は子供でしょ?
+++++あとがき++++++++++
背景花言葉は「信仰」。
初ナルヒナです。
ヒナタ大好きです。スレヒナもノマヒナも愛せます。
当サイトの傾向として、
ナルいの→共に生きよう(片方が死んでもその分まで一生懸命生きよう)
ナルヒナ→死ぬなら共に(片方が死んだら生きていけない死んでも一緒)
が、挙げられます。07/09/01 夜烏 白羽
07/09/02 こっそり加筆